階差数列の公式
今回は
階差数列
をおさらいします。
例題も用意しているので、しっかり身につけておきましょう♪
階差数列
まずは階差数列の定義から確認しましょう。
数列 があるとき、 としてできる数列 をもとの数列 の階差数列といいます。
この定義から、 がわかっていると、その階差数列 も求まりますね。
例えば、 の一般項が であれば、
\begin{align} b_n &= a_{n+1}-a_n \\
&=\{ 3(n+1)+5 \}-(3n+5) \\
&=3
\end{align}
となりますし、もし の一般項が であれば、
\begin{align} b_n &= a_{n+1}-a_n \\
&=\{ (n+1)^2+3 \} -(n^2+3) \\
&=(n^2+2n+4) - (n^2+3) \\
&=2n+1
\end{align}
となります。
このようにある数列 が与えられれば、その階差数列 も定義からわかるのですが、
高校数学の問題でよく出てくるのはこの逆で、「階差数列 が与えられたときに、もとの数列 を求めることができるか」が問われます。
では階差数列 からどうやってもとの数列 を求めるのでしょうか?
このときに使う公式が、次の階差数列の公式です。
\begin{align} \displaystyle a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} b_k \quad (n \geqq 2) \end{align}
初項 と階差数列 がわかれば、この公式を使ってもとの数列 を求めることができるわけです。
例題で公式の使い方を練習しておきしょう♪
<例題>
数列が の一般項 を求めよ。
<考え方>
はすぐには求まりそうにないので、こういうときはその階差数列 を調べてみましょう。もし がわかれば、階差数列の公式から も求めることができます。
<解>
階差数列 は、 となっているので、
である。
よって、階差数列の公式から、 のとき、
\begin{align} \displaystyle a_n &= a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} \ b_k \\
&= 3 + \sum_{k=1}^{n-1} \ (2k+1) \\
&= n^2 +2 \\
\end{align}
これは のときでも成り立っている。
よって、 である。
となりますね。うまくできたでしょうか?
ここで1つ注意点があります。この公式は で使えるものなので、 のときのことは別に書いておく必要があります。階差数列の公式を使うときはこの点だけ注意してください。
階差数列の公式は のとき! のときは別で!
また、(シグマ)の計算のところがよくわからない人はこちらをどうぞ!
tsurezurebiyori.hatenablog.com
マイルームが散らかっていくわけを理系の頭で考えてみた
今週のお題「わたしの部屋」
あなたのマイルームは今どうなっていますか?
きちんと整理整頓され、いつでもきれいなマイルーム、友達だっていつでも呼べる(わくわく♪)、、であるはずだったのに!!!
なぜか今や、、部屋は散らかり放題、机の上には書類の山、床は足の踏み場もないほどモノでにぎやかになり、探し物があるときはいつもかくれんぼゲームが勃発(物陰に周到に身を潜めているのでなかなかうまく見つけられない)、、
そんは悲惨なマイルームになってはいないでしょうか?いや、そんなマイルームになってしまっている人もきっと多いはず。。かく言う私も、、、(自主規制)
ですが、安心してください!笑
マイルームがそんな悲惨な状態になってしまうのには、実は科学的なわけがあるのです!!
それは、、「エントロピー増大の法則」というもの!
エントロピー増大の法則
エントロピー(Entropy)という言葉はあまり馴染みのない人もいるかもしれませんが、簡単に言えば、「乱雑さ」を表すものと考えてください。
(大学で本格的に物理学や物理化学を学んだ人は、 とか みたいな数式が脳裏にパっと浮かんでくるかもしれませんが、ここでは難しい話はしないので、数式が苦手な人も安心してください笑♪)
そして、先にお伝えした「エントロピー増大の法則」というのはどういうものかというと、「孤立系においては、この世界のあらゆるもののエントロピーは時間とともに増大する」というものです。
これはどういう意味でしょうか?
「孤立系」という言葉も聞き慣れないかもしれません。本当はこのエントロピー増大の法則を考えるうえでこの「孤立系」という概念は避けて通れない重要なものなのですが、ここではわかりやすさ重視のため、あえてそのまま避けて通りますね♪笑
「エントロピー」というのは先ほど説明した通り、ものの「乱雑さ」を表すものでした。ということは、この法則が言っているのは、
「この世界のものごとは時間が経つにつれて乱雑な方向に進んでいく」
ということなのです。
まだピンと来ないかもしれませんが、実はこの「エントロピー増大の法則」は私たちの身の回りの日常でもよく起こっています。
例えば、コップの中の水にインクを垂らすと、インクは次第に水の中に広がっていき、最終的には水と混ざった状態になります。この現象では、最初は水とインクはそれぞれの元の場所できれいに分離されて分かれた状態だったのに、時間の経過にともなってインクが水の中を広がっていき、水とインクが混ざり合った乱雑な状態となっていますね。つまり、「乱雑さ」が増えているわけです。
この例のように、自然の状態ではものごとのエントロピー(=乱雑さ)は時間が経つにつれて大きくなっていくのです。ものすごくざっくりとした説明になりましたが、これが「エントロピー増大の法則」というものです。
ここではあまり詳しくは触れませんが、実はこの「エントロピー増大の法則」は熱力学の第2法則とも密接に関係しているもので、私たちの宇宙の動きを支配するとてもとても重要な概念なのです。(大学で物理学や物理化学を専攻すればこの辺も深く学べますよ♪)
ではそろそろ本題に参りましょう。
"最初はあんなにきれいな状態だったマイルームが、いったいどうして散らかり放題の悲惨なマイルームへと変化してしまったのでしょう?"
カギになるのはエントロピー(乱雑さ)です。最初のきれいに整理整頓され、モノの配置も規則正しく並んでいたマイルームというのは「乱雑さ」が低い、つまりエントロピーが低い状態ですね。そして、散らかりまくって乱雑なマイルームというのは、まさに「乱雑さ」が大きくなった、すなわちエントロピーが大きな状態です。
つまり、あんなにきれいだったマイルームが、いつのまにか散らかり果てた悲惨なマイルームに変化していく、というのは実は「エントロピー増大の法則」にちゃんと従っている現象、すなわち「自然の摂理」だったわけです。どうりで普通の暮らしをしているだけなのに部屋が散らかっていくわけです。笑
ただ、そんな自然の摂理ゆえ散らかりゆく自分のマイルームを何とかしたいと思っている人もいるでしょう。何とかあのきれいだったマイルームにもう一度戻したい!!
そのためにはどうすればよいのでしょうか??
今までの私の話を十分に理解していただけたなら、もうおわかりだと思います。
そう、「エントロピー増大の法則」をひっくり返せばよいのです。
えっ、でも、、「エントロピー増大の法則」は宇宙の全事象を司る絶対的な法則だから、そんなの不可能なのでは???
と思ったあなた!
確かにその通り!笑 残念ながら(?)この「エントロピー増大の法則」自体をひっくり返すことはほぼ不可能といっていいでしょう。
(実は細かなことを言うとこの辺りの話はやや複雑なところがあるので、あえて”ほぼ”と表現しています笑)
しかし!!「エントロピー増大の法則」を”見かけ上”ひっくり返すことは可能なのです。
覚えていますでしょうか?
この「エントロピー増大の法則」には避けて通れない重要なキーワード「孤立系」という言葉が含まれていたことを!(堂々と避けて通ってしまったあの言葉ですね笑)
「孤立系」とは簡単に言えば、外部から完全に孤立してしまった状況のことを指しています。つまり、外部から完全に孤立してしまい、外界とのエネルギーの移動がなくなった状態のことです。このような状態では、ものごとは必ず乱雑な方向へと導かれます。これが「エントロピー増大の法則」なわけです。ということは、この「孤立系」を崩せば、見かけ上エントロピーを下げることができるということになりますね、、
では、散らかったマイルームをもとのきれいに整った美しい状態に戻すためには、どうすればよいのか?、、もうおわかりですね?
そう、散らかったマイルームに外からエネルギーを投入してやればいいのです。
つ・ま・り、、、
頑張って体を動かしてマイルームの片付けをしよう!(=マイルームにエネルギーを投入する)ってことですね笑
外界との間でエネルギーのやりとりがあれば、「孤立系」ではなくなり、マイルーム自体のエントロピーを下げることが可能になるわけです♪
このように理詰めで考えれば、”愛するマイルームがどうして悲しく散らかっていくのか”という古今東西人々を常に悩ませている難題も、爽快なくらいにすっきり理解することができ、解決策も自然と手に取るようにわかってきます。
理系の頭脳って本当に素晴らしいですね♪
(注)エネルギーの投入をやめてしまうと「エントロピー増大の法則」によりまた部屋は散らかっていきますのでご注意を。
シグマ計算に慣れよう!シグマの公式
今回は
(シグマ)計算の基本
をおさらいします。
例題も用意しているので、しっかり身につけておきましょう♪
(シグマ)
まずはシグマ記号の定義から確認しましょう。
数列の和 を と書きます。
つまり、
というわけですね。これがシグマ記号の定義になります。
シグマ記号では、次の計算法則が成り立ちます。
これはシグマ計算ではとても大事な法則になります。自然に変形できるようにしておきましょう。
また、シグマ計算では重要な公式がいくつかあります。
それらをここでまとめておきましょう。
1.
2.
3.
4.
シグマ計算をするうえで必要になってくる公式です。高校数学では4番の式はそこまで使用頻度が多いわけではないので、まずは1~3番までの式をしっかり覚えましょう。
これらの公式を覚えたら、あとは計算の練習をするだけです。例題をいくつか用意してあるのでトライしてみてください♪
<例題1>
を求めよ。
<解>
<例題2>
を求めよ。
<解>
<例題3>
を求めよ。
<解>
<例題4>
を求めよ。
<解>
となります。うまくできたでしょうか?
等比数列の公式
今回は
等比数列の公式
をおさらいします。
例題も用意しているので、しっかり身につけておきましょう♪
等比数列
隣り合う項の比が一定な数列を等比数列と言います。
等差数列の場合と同じく、等比数列でも重要な公式は一般項の公式と和の公式です。
まずは等比数列の一般項の公式から見ていきましょう。
等比数列の一般形はこのようになっています。
さっそく例題で練習してみましょう。
<例題>
ある等比数列が と並んでいるとき、この等比数列の一般項 を求めよ。
<解>
初項が で、公差が なので、一般項 は
\begin{align} a_n &= 3 \times (-2)^{n-1} \\
\end{align}
次は、等比数列の和の公式です。
初項を、公比を、項数をとするとき
\begin{eqnarray}
S_n = \left\{ \begin{array}{ }
\displaystyle \frac{a(1-r^n)}{1-r} (r \neq 1 \ のとき)\\
\ \ \ \ \ \ na \ (r = 1 \ のとき)\\
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
等比数列の和の公式を使うときはほぼ のときの形です。
のときは、公比が1の等比数列となり、これはつまりずっと同じ数が並んでいるだけの単純な数列になるので、数学の問題で出てくることはほぼありません。なので等比数列の和の公式と言えば、 の形をすぐ連想できるようにしておきましょう。
<例題>
初項が 、公比が の等比数列がある。
(1)この数列の初項から第 項までの和 を求めよ。
(2)この数列の初項から第n項までの和がとなるとき、nを求めよ。
<解>
(1)
初項が 、公比が の等比数列なので、
\begin{align} \displaystyle S_{10} &=\frac{3\{1-(-2)^{10} \} }{1-(-2)} \\
&= -1023 \\
\end{align}
(2)
初項から第n項までの和 は
\begin{align} S_n &= \frac{3\{1-(-2)^n\}}{1-(-2)} \\
&= 1-(-2)^n \\
\end{align}
となる。これが となることから、
\begin{align} &1-(-2)^n = 2049 \\
\Leftrightarrow &\quad (-2)^n = -2048 \\
\Leftrightarrow &\qquad n = 11 \\
\end{align}
よって、
となります。
等差数列の公式
今回は
等差数列の公式
をまとめます。
例題も用意しているので、しっかり身につけておきましょう♪
等差数列
隣り合う項の差が一定な数列を等差数列と言います。
等差数列の最も重要な公式は一般項の公式と和の公式です。
まずは一般項の公式から見てみましょう♪
初項を、公差をとするとき
さっそく例題で練習してみましょう。
<例題>
等差数列が と並んでいるとき、この一般項 を求めよ。
<解>
初項が で、公差が なので、一般項 は
\begin{align} a_n &= 5 + (n-1) \times 3 \\
&=3n+2 \\
\end{align}
次に、等差数列の和の公式を見てみましょう。
初項を、公差を、末項を、項数をとするとき
\begin{align} \displaystyle (1) S_n &= \frac{n}{2} (a+l) \\
\displaystyle (2) S_n &= \frac{n}{2} \{ 2a + (n-1) d \} \\
\end{align}
等差数列の和の公式は上の2種類があります。
末項 がわかっているときは(1)が使えますが、末項 がわからず公差 がわかっているときは(2)を使う、というように使い分けていきましょう。
(補足:末項というのは、考えている数列の最後の項のことを言います)
<例題>
初項が 、公差が の等差数列の初項から第 項までの和 を求めよ。
<解>
初項が 、公差が の等差数列なので、
\begin{align} \displaystyle S_{10} &=\frac{10}{2} \{ 2 \times 5 + (10-1) \times 3 \} \\
&= 185 \\
\end{align}
となります。 の具体的な数字は与えられていませんが、公差はわかるので、和の公式の(2)の方を使えばよいのですね。
もちろん、 の値を求めて、(1)の式を使って答えを出すこともできます。
一般項の公式から、
\begin{align} a_{10} &= 5+(10-1) \times 3 \\
&= 32 \\
\end{align}
となるので、和の公式の(1)より
\begin{align} \displaystyle S_{10} &=\frac{10}{2} (5 + 32 ) \\
&= 185 \\
\end{align}
と求まります。